2014年11月15日土曜日

立花 隆 「臨死体験〈上・下〉」

 

立花 隆 「臨死体験〈上〉」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4167330091/>
文庫: 490ページ
出版社: 文藝春秋 (2000/03)
ISBN-10: 4167330091
ISBN-13: 978-4167330095
発売日: 2000/03

立花 隆(著)「臨死体験〈下〉」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4167330105/>
文庫: 526ページ
出版社: 文藝春秋 (2000/03)
ISBN-10: 4167330105
ISBN-13: 978-4167330101
発売日: 2000/03

[書評] ★★★★☆

「私」という存在は死んだららどうなるのか? 死ぬとき「私」は何を見るのか? という、誰もが持つ疑問に対して、NHKスペシャル「臨死体験」(1991.3)と、NHK教育テレビ「臨死体験を探る」(1992.3)との2つの番組のために行った取材結果をベースとして、番組内に収まりきらなかった内容も含め、多くを綴った本。

生死の淵を彷徨った“臨死体験者”や、体験者に接した研究者へのインタビューを中心に、この不思議体験を数多く挙げる。こういう体験は本当にあるらしい。しかし、この体験が起こるメカニズムについては、よく分かっていない。現在挙げられている説は、大きく分けて以下の2つ:
  1. 脳内の化学反応で見えているだけ、夢のような現象である。死んだら「私」は無になる。
  2. 身体から魂(あるいはそれに類する何か)が抜け出して、本当に見ている。死んだ後、「私」は生の次のステップに進む。
本当のところどちらなのか、研究者の間でも議論は割れている。1. でないと説明できない現象、2. でないと説明できない現象、いずれにしてもデッチ上げ/作り話ではないという保証がどこにあるの? …等々、なかなか話がまとまらない。立花氏は「私は出来るだけ科学的な見方をしているのだが」と言いつつ、宗教寄り・オカルト的な、「ホントに科学的かヨ?」な話まで、内容は色々。そんな中、自身“臨死体験”は出来なくても、臨死体験と共通点の多い“感覚遮断”、さらには“体外離脱”を自身で経験してしまおう!と取り組んでいる辺りは、いかにも立花氏らしいと思った。

ただ…(汗)、文庫版とはいえ、上下巻合わせて1000ページ弱と結構なボリュームである。これだけ引っ張っておいて、結論は以下の通り。
  • 臨死体験で得られる不思議な体験が何故起こるかの理由は、上記1. 2.のいずれとも結論付けられない。決定的証拠がない。
  • 科学的な立場で論じたいが、現段階の科学(脳科学)はまだまだ未発展で分からないコトだらけだから仕方ない。
  • 立花氏自身の考え(意見)としては、1. 2.のどっちでもいいじゃん!…みたいな。
さんざん引っ張っておいてコレかよ!と思ってしまった(笑)。ただ、散々読者を引っ張っておいた上で(この間に読者は色々考えさせられる)、ラストに、臨死体験者の話の最大公約数的な意見、「死への恐怖が無くなった」「生きている間に出来ることを一生懸命やろうと思うようになった」と、調査を通じて立花氏が強く思ったことを結論ぽく持って来たのはチョット上手いかも知れない。

・  ・  ・  ・  ・

立花氏の著作に共通して見られる傾向なのだが:
  • 対立する意見に対して、アッチの味方をしたり、コッチの味方をしたり、行ったり来たりで結論がなかなか出ない(しかも今回は、「どっちだか、よくわかりません」というナンダカナァな結論)。
  • 内容が多過ぎる。取材結果を出来るだけ捨てずに数多く使いたかったのかも知れないが、出来ればもっと見通しの良いストーリー立てとし、内容はエッセンスに絞って欲しかった(手際良く書けば、300~400ページ程度に収まるだろう)。

とにかく話が冗長である(笑)。

・  ・  ・  ・  ・

以上、多少(かなり?)ボロクソに書いてしまったが:興味深いテーマについてじっくり調べたものであり、実は非常に面白かった

0 件のコメント:

コメントを投稿